生成AIは学校教育に役に立つ(元校長 鈴木彰典からの情報提供)

生成AIが私たちの生活や仕事において急速に普及しています。

その活用範囲は多岐にわたり、教育現場でも重要な役割を果たす

可能性が広がっています。

 

 

しかし、AIに苦手意識を持つ教職員の方々にとっては、

AIが非常にハードルの高いものに感じられるかもしれません。

 

 

本日は、AIに不慣れな教職員の方々にも生成AIが便利なツールとして

感じていただけるよう活用方法を具体的にご紹介します。

 

 

1 生成AIとは?

生成AIとは、人工知能の一種であり、大量のデータをもとに

テキストや画像、音声などを生成する技術です。

 

 

この技術は、「質問に答える」「文章を作成する」「アイディアを提案する」

などの作業をサポートすることが可能です。

 

 

例えば、ChatGPTはテキスト作成に優れ、

Geminiは情報検索と連携した回答が得意です。

また、Midjourneyは視覚教材作成にも活用できます。

これらのツールを目的に応じて使い分けると、さらに効率が向上します。

 

 

2 生成AIの具体的な活用例

生成AIが教育現場でどのように活用できるのかを具体的にご紹介します。

 

(1)授業準備の効率化

 ・授業で使うワークシートやテスト問題を作成する際、

  「中学2年生の数学で合同の証明の問題を作成して」と指示するだけで、

  生成AIが問題文と解答例を提案してくれます。

 

 ・「小学校6年生の社会科で、日本の歴史を学ぶ楽しい活動例を教えて」

  といった要求に対して、具体的なアイディアを提供してくれます。

 

(2)事務作業の負担軽減

 ・遠足や保護者会の案内文書を短時間で作成してくれます。

  「保護者会の案内文を作成してください」と入力するだけで、

  案内文書が作成され、必要に応じて修正するだけで完成します。

 

 ・生徒一人ひとりに対する個別コメントを作成する際、

  「成績優秀な生徒への言葉を提案してください」と入力するだけで

  適切なコメントを作成してくれます。

 

(3)個別指導の補助

 児童生徒等の質問に答える際、生成AIを補助的に活用することで、

 即座に適切な解説や例題を提示してくれます。

 これにより、個々の児童生徒等の実態に応じた指導を進めることが

 できるようになります。

 

 

(4)児童生徒等の学びの支援

 生成AIは、児童生徒等の学習を支援するツールとしても活用できます。

 例えば、「英語の作文のテーマを提案して」「数学の問題を解くための

 ヒントを教えて」といった使い方が考えられます。

 これにより、児童生徒等が自主的に学びを進めやすくなります。

 

 

3 苦手意識を克服するために

 AIに不慣れな教職員が生成AIを活用するには、段階的なアプローチが有効です。

 以下、具体的なステップをご紹介します。

 

(1)まずは触れてみる

 生成AIは難しそうに感じられるかもしれませんが、

 最初のうちは気軽に使ってみることが重要です。

 例えば、日常業務に関する簡単な質問を投げかけてみると良いと思います。

 「小学5年生の週末の算数の宿題の例を教えてください」

 

(2)少しずつ使い方を学ぶ

 初心者向けの研修やマニュアルを活用して、少しずつ機能を学びます。

 研修では、実戦的な例を交えて説明することで、

 AIの操作がより身近に感じられるようになります。

 

(3)成功体験を積む

 小さな成功体験を重ねることで自信を深めることができます。

 例えば、「通知文を5分で完成させた」「生徒の質問にすぐに答えられた」

 という経験が生成AIへの信頼感を育みます。

 

 

4 サポート体制の充実

生成AIの活用を広めるには、学校全体でのサポート体制が不可欠です。

特に、AIに不慣れな教職員に対する配慮が重要です。

 

(1)初心者向けの研修の実施

 以下の内容を参考に定期的に研修を開催すると良いと思います。

 ・生成AIとは何かというオリエンテーションを行う。

 ・実際に生成AIを使ってみる。

 ・教育現場での活用例を共有する。

 ・注意点を説明する。

 ・簡単なワークショップを行う。

 ・研修終了後のサポート体制

 を築く。

 

(2)相談窓口の設置

 AIの活用に関する疑問や不安を気軽に相談できる窓口を設けます。

 ITに詳しい教職員やICT支援員をサポーターとして配置することで、

 安心感を提供すると良いと思います。

 

(3)成功事例の共有

 他の教職員が生成AIを使って業務を効率化したり、

 教育の質を向上させたりした事例を共有することで、

 具体的なイメージを共有してもらうと良いと思います。

 

生成AIを活用して、通知表のコメントを作成する際に大幅な時間短縮を

実現したり、校外学習の案内文を生成AIに作らせた後、

微調整を加えるだけで完成させたという実例があります。

 

 

5 AIを身近なパートナーに

生成AIは、教職員の代わりに仕事をするものではなく、

補助的な役割を果たすツールです。

例えば、経験豊富な教師が持つ感性をAIに置き換えることはできません。

一方、情報収集をAIに任せることで、教職員は本来注力すべき児童生徒等との

関わりや教育活動に集中することができます。

 

 

なお、生成AIを使う際には、いくつかの注意点があります。

情報源の信頼性、著作権の問題、倫理的な問題などの有無の確認が必要です。

また、生成AIの提案をそのまま使用せず、

最終確認を行うことで信頼性を確保することができます。

 

 

生成AIは、教職員の負担を軽減し、教育の質を向上させるための道具です。

上手に使えば強力なパートナーになります。

 

 

これからの時代、生成AIを活用することは避けられない流れです。

各学校(園)において、教職員の実態に応じて生成AIの導入に向けた

準備を進められると良いと思います。

 

 

私もつい最近、生成AIを使い始めました。

今後、さらに学びを深めていきたいと思います。

子どものインターネットの利用状況と教育現場の役割(元校長 鈴木彰典からの情報提供)

現代社会において、インターネットは私たちの生活のあらゆる場面に

浸透しています。特に、子供たちのインターネット利用が急速に

増加しており、これに伴う課題が浮き彫りになっています。

 

令和5年度に子ども家庭庁が行った調査結果によれば、

小中高生の約70%が1日に3時間以上インターネットを利用しています。

1日当たりの目的別利用時間は、

勉強・学習・知育が62.0分

趣味・娯楽が176.7分

保護者友人等とのコミュニケーションが55.1分

となっています。

 

この数字は、単なる余暇の過ごし方としての利用を超え、

インターネットが子供たちの学びや生活の中核を

占めつつあることを示しています。

 

しかし、このような利用状況には懸念も伴います。

例えば、SNSを通じたトラブルや有害な情報に触れるリスクが

増加しています。また、インターネット利用時間の長時間化が

学業成績や生活習慣の乱れにつながる可能性も指摘されています。

教育現場としては、これらのリスクを軽減するための取り組みが

急務とされています。

 

まず、インターネットリテラシー教育の強化が重要です。

児童生徒たちが適切に情報を選び取り、トラブルを回避する

スキルを身につけることが求められています。

具体的には、情報の信頼性を判断する方法やSNSでのマナーを学ぶ

授業を定期的に設けることが効果的です。

また、教師自身もインターネットリテラシーを高め、

児童生徒に適切な指導を行えるよう、研修の機会を増やすことが必要です。

 

次に、家庭との連携も欠かせません。

保護者向けにインターネット利用に関する啓発資料を提供したり、

家庭でのルール作りをサポートすることで、

子供たちが安全にインターネットを利用できる環境を整えます。

例えば、「1日2時間以上の利用は避ける」「寝る前1時間は画面を見ない」

といった具体的なルールの設定を推奨することが効果的です。

 

さらに、学校ではICT教育を活用し、

インターネットを単なるエンターテインメントツールではなく、

学びのツールとして活用する方法を指導することも重要です。

例えば、調べ学習やプログラミング教育を通じて、

インターネットをクリエイティブに活用する力を育成します。

インターネット利用に関する教育は、単に危険性を回避するだけでなく、

子供たちが未来を切り開くための力を身につける機会でもあります。

 

教育現場と家庭が一体となり、子供たちの健全なインターネット利用を

支える仕組みを構築していくことが求められます。

学校の先生の願い(元校長 鈴木彰典からの情報提供)

こんにちは。

ここ数年、学校はブラックだと言われることが多くなり、教員採用試験の採用倍率が軒並み低下しております。

確かに、学校現場は業務量が多く、在校時間が多いのは現状です。

最近、文部科学省は教職調整額を4%から13%に引き上げるというニュースをお聞きになった方もいらっしゃると思います。

そもそも、教職調整額とは何かと疑問を持つ方もいらっしゃるのではないかと思いますが、優秀な人材を確保するために田中角栄内閣の時に導入されたものです。当時の教員の残業時間は平均月8時間くらいだったことから4%が妥当だということで始まりました。その後、学校は教育改革の名の下に新しいことに取り組むことが増え、残業時間(業務量)が増えていくようになりました。文部科学省では、働き方改革の取組として残業時間を月45時間以内にすることを各学校に促しておりますが、8割以上の教員は月45時間を超えて勤務しております。
単純に計算しますと、45÷8=5.625
月45時間の残業時間の場合は、4%×5.625=22.5%になります。
今の実態からしますと、教職調整額13%は少なすぎます。
しかし、学校現場で働く先生方は、教職調整額を増やすよりも教員の人数を増やしたり、業務量を減らして欲しいと願っている方が多くいます。

学校は未来を担う人材を育成する機関だと思います。
今、学校現場は様々な問題の対応で猫の手も借りたい状況です。
その中で奮闘している先生方を金銭面だけではなく、物理的・精神的に支えることを真剣に考える時を迎えていると思います。子供たちのために熱心に取り組んでいる先生方を応援して頂きたいと思います。

今日は、このあたりで失礼いたします。また、投稿いたします。